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瓜食めば

さて、日本中が固唾をのんで見守る中、新元号は
「令和」と発表されました。万葉集の梅花の歌に由来するのだとか。
これを受けて、巷では万葉集が一躍ブームになり、関連図書の
特設コーナーを設けた書店もあるそうです。

「ふ~ん、万葉集ねえ。ま、自分は理系だし、関係ないよね」と
思っているそこの高校生!油断してはいけない!
2011年の慶應大学理工学部の英語入試問題の大問2は、万葉集の
山上憶良の歌で始まるのです。

Eating a melon, I remember my children;
Munching on chestnut, I yearn for them all the more.

そう、高校で習いましたよね。
「瓜食めば子供思ほゆ栗食めばまして思ほゆ」

文章は次のように続きます。
"Pining for home, the poet Yamanoue no Okura,
then an envoy to China, composed these lines at the beginning
of the eighth century, punning uri 'melon' , a symbol of summer,
with kuri 'chestnut', a symbol of autumn.

8世紀のはじめ、当時遣唐使として中国に派遣されていた山上憶良は
望郷の思いを胸に、この歌を詠んだのですね。夏の象徴である「瓜」と
秋の象徴である「栗」の語呂合わせまでして。
いや、気づかなかったわ。高校の古文の時間、寝てたのかも。

万葉集からさかのぼることほんの数世紀前の縄文時代の遺跡からは
ドングリやクルミ、ハシバミの実、および栗を貯蔵していた穴が
発見されているそうで、それほど古くから日本人とかかわりのある
食べ物なのですね。

文章はこの後、ナッツ類は西洋でも長い歴史があり、木の実につけられた
名前も、色々な言語とかかわる複雑な由来を持つことなど、とても
興味深い話が続きます。

さらに、"chestnut"はさまざまな国で名前として用いられている、という
話も載っています。

"Joey Chestnut is currently the world's leading competitive eater
of hotdogs and pizzas."
このChestnutさんは 世界有数のホットドッグとピザの大食い選手だとか。
モンブランやマロングラッセの早食いじゃないのね。

日本の方では、栗野慎一郎氏(日露戦争当時の外交官)、栗林忠道氏(硫黄島
の大日本帝国陸軍指揮官)の各方々、そして今の平和な時代の方として、
「ダーリンは外国人」の作者小栗左多里さんのお名前が挙がっていました。

"Modern Japanese, just as in Yamanoue no Okura's day, still much on
chestnuts, producing their own in such large quantities as to put them
sixth place in the world. They are also the foremost consumers of
exports from the international leaders in the market, China and
South Korea."

「現代の日本人も山上憶良の時代の人々と同様に栗を食べ、その生産量は
 世界で第6位。さらに栗の有力な生産国である中国と韓国から輸出される
 栗の最大の消費国でもある」

山上憶良ら、遣唐使の方々が遠い故郷を思い、家族を思い栗を食べていた
と思えば、今年の秋は、格別な思いで栗をいただくようになるかも。
いや、中津川「すや」の栗きんとんだの、栗蒸ようかんだの、モンブラン
だのと騒ぐのは、何やら申し訳ない気もしてくるけれど。

でも、やっぱり食べてしまっているに違いない!!


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~Wing English Class~





by wingenglishclass | 2019-05-20 23:52 | 英語あれこれ

たまプラーザで女性のための英語教室をやっています


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